MY POEM
やさしい事件
 
 
夜が明けて
見張りの小人たちがゆっくり眠りについたころ
巨木の梢に星がおりてきました。
 
射すような強さはないけれど
すんだ美しい輝きを放って
星はそこに座りました。
 
 
そのとき 町中をはげしい風が吹きわたり
塔の鐘がせわしなく鳴り続け
運河の水があふれだして
あらゆる秩序を飲み込みました。
 
黄昏がくると
町を覆いつくした水は 巨木の方へ向かって流れ出し
やがてすべてがその根に吸い取られていきました
そして、水だけでなく 
家もお店も、きまりごとも約束も すべてが消えてしまったのです
 
夕風が大地をやさしく乾かすと、
あたり一面に火の花が咲いて、
果実のような甘い香りが立っていました。
2010/03/15

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Last updated: 2011/7/20

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